日記/2010-8

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2010-8-31

エ/ン/ジ/ン

 

 中島京子「エ/ン/ジ/ン」を読了。直木賞をとった「小さいおうち」とは違って、物語としては破綻しているような気もしたが、これはこれで面白かった。
 以下、「3 行き当たりばったりな侵略者」から。

「エンジンでゴリって言ったら、<宇宙猿人ゴリ> だろう」
「うちゅうえんじんごり?」
「<スペクトルマン> の敵役だよ。顔が緑で髪が金髪。手話みたいな、ものすごい手振りでしゃべる、悪役中の悪役だ。あれはなかなか忘れられないキャラクターだよ」
「それは、いわゆるヒーロー物ですか、その <スペクトルマン> というのは」
「そうね。いまや <ウルトラマン> と <仮面ライダー> 以外は、いわゆる戦隊系しか生き残ってないけど、あのころはいろいろあったの。<レインボーマン> とか <怪傑ライオン丸> とか <ミラーマン> とかさ」
「聞いたことないわ」
「<シルバー仮面> なんてのもあったね。『しるばーかめんは、さすらいかめん』という、短調の物悲しい歌も覚えていますよ」
行けレインボーマン

快傑ライオン丸- 風よ光よ Kaiketsu Lion Maru- Kaze yo! Hikari yo!

ミラーマンの歌

故郷は地球 (シルバー仮面)

「なんていいましたっけ、もう一度、その悪役の名前を」
「<宇宙猿人ゴリ>。僕はその、二つのあだ名を聞いたときに、ピンと来ました。歌がね、あってね。なんだったかな?」
 スーツの中年男、トンちゃんは目を閉じて、一節一節を思い出から絞り出すように歌った。

    惑星Eから/追放された
    そのくやしさは/忘れはしない
    宇宙を旅して/目についた
    地球を必ず/支配する

「なんだか、行き当たりばったりな侵略ですね」
 隆一は思わず感想を述べたが、スーツは、黙れと言いたげに両手でなにかを押しとどめる動作をし、すかさず続きを歌いつづけた。

    自分の理想と/目的持って
    強く生きてる/そのはずなのに
    宇宙の敵だと/言われると
    身震いするほど/腹が立つ

「ぼやいちゃってるよ」
 と、燕耕太が批評した。

 
 「8 S教授の話」から。

 ゴリは地球を愛している。
 惑星Eから追放されて、宇宙の闇を孤独にさまよっていたゴリは、まるで自分の生まれ故郷のような、青い、美しい星を見つける。故郷喪失者のゴリは、その星、地球をこそ、ぜひ手に入れたいと希った。
 ゴリは人間を憎んでいる。
 美しい地球を破壊してしまう人間を憎んでいる。
 ゴリは人間と戦うために、人間の作り出した公害を利用した。地球を破壊する物質、まさにその培養器である公害を利用することにした。
 ゴリが汚染物質を体に注入した人間は、怪獣になって人間を襲う。
 しかし、たいていその怪獣は、人間の心を残しているので、醜く変身した己れの姿を嘆き、人を襲ってしまう本性に気づいて自らを責める。
 ゴリは人間に罰を与えたいと希う。
 あるいは、人間から本来の地球を奪い返したいと希う。
 ところが希えば希うほど、ゴリは自分の設定したパラドクスにからめとられる。
 ゴリは人間を罰するために作り出した武器で、地球のさらなる破壊を進めてしまう。
 奪い返そうと思った美しいはずの地球は、どんどん醜くなってゆく。
 果たして彼が罰したかったのは、目の前で醜く怪獣に変身したまま、絶望して死んでいく人間だったのかどうかも、わからないままに。
 ゴリ。
 孤独な夢想家。宇宙の敵。
 あるいは、孤独な原理主義者。孤独なテロリスト。
 エンディングでゴリは盟友ラーをスペクトルマンに殺されて、自ら命を絶つ。
 一人ぼっちになったゴリ。ただ一人の友すら失って……。
 ゴリ。
 金色の髪に緑色の顔をした、孤独な、ばけもの。

 
 あるいは、「17 ヒトリノカナシミ」から。

 妙なことを覚えてるっていやあ、はっきり記憶に残ってるのは、そのとき生バンドが演奏してた曲のことだよ。初めて聴いたんだけど、忘れられないメロディで、それで俺は酒を運んできた女の子に、あのバンドは何て名前で、いま歌ったのは何て歌なんだと訊いたんだ。そうしたら女の子が、なんとかかんとかのヒトリノカナシミだって言うんだよ。なんとかかんとかのところは、店もうるせえから聞き取れなくて、ヒトリノカナシミってとこだけ訊き返したら、そうだ、ヒトリノカナシミだって、女の子は教えてくれた。
 いまでもそのメロディは覚えてる」
「一人の、悲しみ?」
「恋人がいなくなって一人になったっていうようなことを歌ってたんだと思うけど、歌詞のほうは忘れちまった。なんでその曲を覚えてるかっていうと、何年か経ってリトル・トーキョーの友達の家でぜんぜん違う歌手がそれを歌ってるレコードを聴かされたからだ。歌の題名も歌詞もぜんぜん変えちまってたけどな。日本レコード大賞を獲ったって言ってたっけ。なんだかひどく声量のある、バタ臭い顔をした男の歌手だったが、そいつの名前も忘れた。まあ、いいや、そんなことはどうでもいい」
ひとりの悲しみ

また逢う日まで    尾崎紀世彦


2010-8-20

ALL WE NEED IS ROCK MUSIC

 

200704.jpg

 スタジオ・ボイス376号(2007年4月号)の特集「アンチ・ロック 非=入門的ロック・ガイド」の「ロックしかない、ディスク・ガイド100」をリストにしてみた。リストの各ページには、いつものように、Discogs、YouTube、Amazonでの検索結果を表示している。
 選者は三田格、湯浅学と編集部。1番から50番までは「50DISCS IN UK」、51番から100番までは「50DISCS IN US」とカテゴライズされている。
 以下に、何だか「てにをは」も怪しい上に、相も変わらず何が言いたいのかよくわからない、スタジオ・ボイス節全開の、この特集のリードを引用する。

 サブカルチャーのテリトリーからカウンター・カルチャーへの中心へ。ここ数年のロック・バンド復権ムードは、かなり昔に「死んでしまった」ロックを歴史のくびきから解き放ち、世代間の島宇宙を架橋しつつ前方へ投擲する。マイクを握り、ギターを構え、スティックで刻む「ワン、ツー、スリー、フォー」のカウントがノスタルジーを喚起することはわかっている。わかってはいるが、それはまた音楽のスタンダードを立ち上げる4拍でもある。ダウンロード・ビジネスへの移行で一足先に未来へ到達した音楽状況にもはや王道と傍流、メジャーとマイナーの差異はなく、のっぺりとしたサイバースペースでまったりとアクセスを待ち受けるだけなのか? いや、この期待感はステージとオーディエンスがシンガロングする瞬間の昂揚感に通じている。土台にあるのはスタイルではなくダイナミズム。だから今ロック・アンサンブルのしたたかなうねりをみよ!
Page Artist Album Label Year
RockMusic/1THE BEATLES A Hard Day's Night 東芝EMI 1964
RockMusic/2CRAZY WORLD OF ARTHUR BROWN Crazy World Of Arthur Brown ユニバーサル 1967
RockMusic/3KINKS Something Else BMG 1967
RockMusic/4JACK BRUCE Songs For A Tailor ユニバーサル 1969
RockMusic/5ROLLING STONES Let It Bleed ユニバーサル 1969
RockMusic/6BLACK SABBATH Paranoid ユニバーサル 1970
RockMusic/7THE WHO Live At Leeds ユニバーサル 1970
RockMusic/8T.REX Electric Warrior ユニバーサル 1971
RockMusic/9MOTT THE HOOPLE All The Young Dudes ソニー 1972
RockMusic/10ROXY MUSIC For Your Pleasure 東芝EMI 1973
RockMusic/11DOCTORS OF MADNESS """Late Night Movies, All Night Brainstorms""" Polydor 1976
RockMusic/12SEX PISTOLS Never Mind The Bollocks 東芝EMI 1980
RockMusic/13METAL URBAIN Les Hommes Morts Sont Dangereux Rough Tradeor ポリスター 1980
RockMusic/14MAGAZINE Secondhand Daylight Virgin 1978
RockMusic/15THE JAM Setting Sons ユニバーサル 1979
RockMusic/16JOY DIVISION Unknown Pleasure ワーナー 1979
RockMusic/17RED NOISE Sound On Sound EMI 1979
RockMusic/18SOFT BOYS Underwater Moonlight Pヴァイン 1980
RockMusic/19FEHLFARBEN 33 Tage In Ketten EMI 1981
RockMusic/20SLITS Return Of The Giant Slits ソニー 1981
RockMusic/21SPECIALS Ghost Town 2 Tone 1981
RockMusic/22NINA HAGEN Nunsexmonkrock Columbia 1982
RockMusic/23MONOCHROME SET Eligible Bachelors Pヴァイン 1982
RockMusic/24PALAIS SCHAUMBURG Palais Schaumburg Tapete 1982
RockMusic/25WIRTSCHAFTSWUNDER Wirtschaftswunder Polydor 1982
RockMusic/26K.U.K.L The Eye One Little Indian 1984
RockMusic/27CURE The Top Polydor 1984
RockMusic/28ORANGE JUICE Orange Juice Polydor 1984
RockMusic/29THE POGUES Rum Sodomy & The Lash ワーナー 1985
RockMusic/30THE SMITHS Meat Is Murder ワーナー 1985
RockMusic/31THE GREAT LEAP FORWARD Don't Be Afraid Of Change Communications Unique 1988
RockMusic/32HAPPY MONDAYS Pills 'N' Thrills And Bellyaches ワーナー 1990
RockMusic/33MY BLOODY VALENTINE Loveless ソニー 1991
RockMusic/34PRIMAL SCREAM Screamadelica ソニー 1991
RockMusic/35PJ HARVEY Rid Of Me ユニバーサル 1993
RockMusic/36TINDERSTICKS Tindersticks キング 1995
RockMusic/37SUEDE Coming Up ソニー 1996
RockMusic/38CHEMICAL BROTHERS Dig Your Own Hole 東芝EMI 1997
RockMusic/39RADIOHEAD OK Computer 東芝EMI 1997
RockMusic/40ARAB STRAP Philophobia Pヴァイン 1998
RockMusic/41BADLY DRAWN BOY The Hour Of Bewilderbeast Twisted Nerve/XL Recordings 2000
RockMusic/42CHICKS ON SPEED Chicks On Speed Chicks On Speed 2000
RockMusic/43DELGADOS The Great Eastern トイズ 2000
RockMusic/44PLASTILINA MOSH Juan Manuel 東芝EMI 2000
RockMusic/45SIMIAN We Are Your Friends 東芝EMI 2002
RockMusic/46PEACHES Fatherfucker Pヴァイン 2003
RockMusic/47RELAXED MUSCLE A Heavy Night With... Rough Trade 2003
RockMusic/48DIJF SANDERS Mating Season Dub 2004
RockMusic/49THE DEAD 60S The Dead 60s ソニー 2005
RockMusic/50PANICO Subliminal Kill Tiger Sushi 2005
RockMusic/51CHUCK BERRY After School Session ユニバーサル 1957
RockMusic/52BUDDY HOLLY That'll Be The Day Decca 1958
RockMusic/53BO DIDDLEY Hey! Bo Diddley Chess 1962
RockMusic/54THE BYRDS Mr. Tambourine Man ソニー 1965
RockMusic/55MOTHERS OF INVENTION Freak Out ビデオアーツ 1966
RockMusic/56JIMI HENDRIX Axis Bold As Love ユニバーサル 1967
RockMusic/57DOORS Strange Days イーストウエスト 1967
RockMusic/58FRED NEIL Fred Neil Water 1967
RockMusic/59THE BAND Music From Big Pink 東芝EMI 1968
RockMusic/60STEPPENWOLF Steppenwolf ユニバーサル 1968
RockMusic/61HOWLING WOLF This Is Howlin' Wolf's New Album Chess 1968
RockMusic/62MC5 Kick Out The Jams ワーナー 1969
RockMusic/63CACTUS Cactus ビクター 1970
RockMusic/64ALICE COOPER Killer ワーナー 1971
RockMusic/65GRAND FUNK RAILROAD Survival 東芝EMI 1971
RockMusic/66GRATEFUL DEAD Europe '72 ワーナー 1972
RockMusic/67TONY JOE WHITE The Train I'm On ワーナー 1972
RockMusic/68LYNYRD SKYNYRD Second Helping ユニバーサル 1974
RockMusic/69V.A. NUGGETS Sire 1972
RockMusic/70TODD RUNGREN Todd ビクター 1974
RockMusic/71THE DICTATORS Go Girl Crazy Epic 1975
RockMusic/72KISS Kiss Alive! ユニバーサル 1975
RockMusic/73DEBRIS' Static Disposal キャプテン・トリップ 1976
RockMusic/74THE MODERN LOVERS The Modern Lovers ユニバーサル 1976
RockMusic/75THE RESIDENTS The Third Reich 'n' roll Mute 1976
RockMusic/76JOHNNY THUNDERS & THE HEARTBREAKERS L.A.M.F ドルフィン 1977
RockMusic/77MEAT LOAF Bat Out Of Hell Epic 1977
RockMusic/78RAMONES Rocket To Russia ワーナー 1977
RockMusic/79SUICIDE Suicide Mute 1977
RockMusic/80DAVID JOHANSEN David Johansen Razor & Tie 1978
RockMusic/81AC/DC Highway To Hell ワーナー 1979
RockMusic/82JAMES CHANCE & THE CONTORTIONS Buy Ze 1979
RockMusic/83TALKING HEADS Fear Of Music ワーナー 1979
RockMusic/84CAPTAIN BEEFHEART AND MAGIC BAND Doc At The Radar Station Blue Plate 1980
RockMusic/85BLACK FLAG Damaged キング 1981
RockMusic/86THE CRAMPS Date With Elvis Big Beat 1986
RockMusic/87DINOSAUR JR. Bug インペリアル 1988
RockMusic/88HELMET Strap It On ユニバーサル 1991
RockMusic/89NEIL YOUNG & CRAZY HORSE Weld ワーナー 1991
RockMusic/90SCREAMING TREES Uncle Anesthesia エピック 1991
RockMusic/91MELVINS Houdini Atlantic 1993
RockMusic/92PANTERA Far Beyond Driven イーストウェスト 1994
RockMusic/93SLAYER Divine Intervention ユニバーサル 1994
RockMusic/94PERE UBU Apocalypse Now ボンバ 1999
RockMusic/95THE RED KRAYOLA Fingerpainting Pヴァイン 1999
RockMusic/96SHELLAC 1000 Hurts Touch & Go 2000
RockMusic/97WARREN ZEVON The Wind コロムビア 2003
RockMusic/98DNA DNA On DNA No more 2004
RockMusic/99HOWLING HEX Nightclub Version Of The Eternal Pヴァイン 2006
RockMusic/100SONIC YOUTH Rather Ripped ユニバーサル 2006

 特集の中で、表紙にもなっているボブ・ディランについて、湯浅学が書いているのだが、その記事は彼が1971年12月頃にテレビで見た日本人ミュージシャンの話から始まる。

その日はやたらにゴワゴワの長髪の男が出ていた。目つきが鋭い。朝のさわやかさの一切ない容姿は野良猫のようだった。しゃべり方はぶっきらぼうだが、無口なわけではなく、自分の思いを伝えようとするひたむきさに俺は魅かれた。その男は泉谷しげるといった。歌った曲がなんだったのか記憶は遠い。それよりも印象に残った発言があった。「岡林信康の『私たちの望むものは』とか五つの赤い風船の一連の曲とかああいう歌詞は、書き言葉だと思う。俺たちが普段使っているのとは少し違う言葉だ。それは俺の歌いたい言葉とは違う。でも日常的に使っているような“だからよお”とか“おめえなにやってんだ”という言葉使いでは歌いにくい。かしこまった活字のような言葉ではなく、立ち小便しているような会話文でもない、歌の言葉を生み出したい。それをもっと探求したい。
 という内容のものである。書き言葉がダメだとかイイとかそういうことではなく、自分の音楽には合致する様式とそうでないものがあるのだが、自分としては、自分のことを“私”というのは違和感があるし、もしそのような一人称を使うとすれば照れ隠しや揶揄が含まれる場合である、というようなことを泉谷しげるは言っていた、と思う。

 ディランに関する記事なので当たり前なのだが、この泉谷の話は前フリで、この後「ディランの音楽は、書き言葉であろうと日常語であろうと歌唱用語法であろうと、歌う者の欲望や潜在意識の反映であることを棚に上げてえらそうなこと言うたらあかんでぇ、ということを我々に強烈に知らしめる」という具合にディランが称揚されることになる。
 しかし、私としては、よく知らないディラン(不勉強ですいません)にではなく、70年代初めにいわゆる「日本語のロック」の可能性を愚直に追求する泉谷の姿に、何とも言えない清々しいものを感じた。


2010-8-15

火の鳥

 

2010/08/10(火)撮影
 
京都国際マンガミュージアム
京都市中京区烏丸通御池上ル

 


2010-8-14

鉄人28号

 

2010/08/09(月)撮影
 
若松公園
兵庫県神戸市長田区日吉町1丁目

 


2010-8-7

500万下札幌ダート1000mの出目馬券

 

 半笑い著「当たり前なのにまだバレていない競馬で勝つためのルール」の第1章では、馬券を購入する際に重視すべき5大要素を、500万下札幌ダート1000mという条件を例にあげて説明している。重要な順に「先行力」、「調教」、「斤量」ときて、4番目に重要なのは「枠順」(ちなみに5番目は「実績」)。この「枠順」の節に以下のような記載がある。

 砂スタートのダート戦は基本的には内の1〜4枠が有利な傾向にある。
 これを証明する、衝撃的な「枠順の偏り」の事実を記しておこう。
 「500万下・札幌ダート1000m」戦では、3連複で「3番、4番の2頭軸→総流し」を1点千円ずつ買い続ければ、06〜08年まで「毎年プラス収支」を計上したうえで、トータルなんと100万円以上儲かっているのだ(編集部注:09年も原稿執筆時─8月23日時点─までの開催ではプラス収支)。

 確かに衝撃的事実だ。
 この「法則」が成り立つのなら、何も考えずにこの出目馬券を買い続けていれば、それだけで勝ち続けることができるのではないか。そう思ったのだが、札幌競馬場では近年大規模な馬場改修などは行われていないにもかかわらず、なぜか「06〜08年」と期間が切られているのが気になる。
 そこでさっそくTARGETで調べてみた。集計期間は3連複を売り始めた2002年から2009年まで。

年月日-R頭数馬場1着2着3着3連複配当点数払い戻し購入額総購入額総払戻額収支
2009/09/05-6R121096892010010000197000187900-9100
2009/08/30-6R12112610392010010000
2009/08/23-7R122115270010010000
2009/08/22-7R1298718540909000
2009/08/15-7R1210196198010010000
2009/08/09-7R12953619010010000
2009/08/08-7R1211272919010010000
2009/08/01-7R1221081576010010000
2009/07/26-7R128961485010010000
2009/07/25-7R12432131901013190010000
2009/07/19-7R121510673010010000
2009/07/18-7R112467730909000
2009/07/12-7R122111585010010000
2009/07/11-7R123415600105600010000
2009/07/05-7R123671197010010000
2009/07/04-7R12518381010010000
2009/06/28-7R114853010909000
2009/06/27-7R12361428010010000
2009/06/21-7R122125174010010000
2009/06/20-7R12856891010010000
2008/10/05-5R1269245001001000012000018530065300
2008/10/04-4R1234250010500010000
2008/09/28-4R12121011175010010000
2008/09/27-6R121265151010010000
2008/09/21-7R124651242010010000
2008/09/20-8R1231539010010000
2008/09/15-7R123911103010010000
2008/09/15-4R123482160102160010000
2008/09/06-7R12811551010010000
2008/08/31-6R12793225010010000
2008/08/23-7R12421370010010000
2008/08/17-6R12439158701015870010000
2007/09/30-7R121011416501001000096000236200140200
2007/09/22-10R128105114010010000
2007/09/22-6R118431624091624009000
2007/09/17-7R1234113370103370010000
2007/09/15-7R12526959010010000
2007/09/09-7R105766490808000
2007/09/08-7R1234124010104010010000
2007/09/01-7R1211192328010010000
2007/08/26-7R1252101567010010000
2007/08/11-7R127535450909000
2006/10/01-6R1251136390100100001290001074500945500
2006/09/30-8R1212811426010010000
2006/09/24-8R102781290808000
2006/09/23-8R10910110960707000
2006/09/18-7R1024107360808000
2006/09/10-9R117814340909000
2006/09/09-8R12318961010010000
2006/09/03-7R105142590808000
2006/09/02-7R122310437010010000
2006/09/02-2R52541790303000
2006/08/27-6R1281210623010010000
2006/08/26-7R1010784170808000
2006/08/20-7R12101189370010010000
2006/08/13-6R1137489809898009000
2006/08/12-7R127439847099847009000
2005/10/02-6R1276106920100100001550000-155000
2005/10/01-7R112539010909000
2005/09/25-7R122641123010010000
2005/09/24-9R127121162010010000
2005/09/19-7R125106207010010000
2005/09/11-7R1211110880010010000
2005/09/10-8R12912114010010000
2005/09/04-7R12214309010010000
2005/09/03-7R128111894010010000
2005/09/03-5R129122820909000
2005/08/28-6R1121111040909000
2005/08/27-7R119510700909000
2005/08/21-6R123115108010010000
2005/08/20-8R125633314010010000
2005/08/14-7R123119298010010000
2005/08/13-6R1111191390909000
2004/10/03-6R12512338401001000014900082500-66500
2004/10/02-8R123847720107720010000
2004/09/26-7R1224353010530010000
2004/09/25-8R1210352006010010000
2004/09/20-7R1262381010010000
2004/09/12-7R127129316010010000
2004/09/11-8R12358180010010000
2004/09/04-7R1210811491010010000
2004/09/04-4R1210125492010010000
2004/08/29-7R12107111860909000
2004/08/28-6R12674132010010000
2004/08/22-6R1213106556010010000
2004/08/21-8R123723003010010000
2004/08/15-6R12211398010010000
2004/08/14-7R12610118214010010000
2003/10/05-7R128952080909000138000401200263200
2003/10/04-7R124512133010010000
2003/09/28-7R127812810010010000
2003/09/27-7R121035155010010000
2003/09/21-7R123106371010010000
2003/09/20-8R12121192086010010000
2003/09/14-7R12946592010010000
2003/09/07-7R122111011760010010000
2003/09/07-4R12571033819010010000
2003/09/06-6R121161692010010000
2003/08/31-7R129210378010010000
2003/08/24-6R12948627010010000
2003/08/17-7R1110344012094012009000
2003/08/16-8R127535238010010000
2002/09/29-7R12372543201001000015000018900-131100
2002/09/28-7R125431890101890010000
2002/09/22-8R1286113582010010000
2002/09/21-7R12185884010010000
2002/09/21-4R12110122957010010000
2002/09/14-7R127512205010010000
2002/09/08-7R121212722010010000
2002/09/07-7R12317615010010000
2002/09/01-7R128491451010010000
2002/08/31-7R12215102010010000
2002/08/24-6R12571304010010000
2002/08/18-6R125117143010010000
2002/08/17-4R124515668010010000
2002/08/11-7R12312101015010010000
2002/08/10-7R12387272010010000
集計期間トータル113400021865001052500

 確かに2002年から2009年のトータルでも105万円ほどのプラス収支となっているが、これはひとえに2006/8/12の7Rで98470円という高配当が的中しているからに他ならない。もしこの馬券が的中していなければ、プラスの額は67800円になってしまう。
 また、8年間の集計期間中、単年の収支でもプラスになっているのは、03年、06年、07年、08年の4年だけ。05年に至っては一度も馬券が的中しておらず、単年では15万5千円のマイナスである。
 やはり、コトはそう簡単にはいかないようだ。
 
 「当たり前なのにまだバレていない競馬で勝つためのルール」の名誉のために、第1章の最後の部分も引用しておく。

 以上、ここまでダート短距離を制する絶対的な「5大要素」を見てきたが、はっきり言って重要なのは「(1)先行力」・「(2)調教」・「(3)斤量」。
 競馬場によっては「(4)枠順」がそれなりに影響を及ぼし、「(5)実績」は「(1)先行力」〜「(4)枠順」の結果として現れる近走の同条件実績以外はあまり信用できない……というのが結論だ。

 枠順(出目)はあくまで4番目に見るべき要素であって、しかもその重要度は上位3要素よりはかなり低い、といったところか。

追記

 2010/10/04に「500万下札幌ダート1000mの出目馬券の2010年の結果」を追加。


2010-8-5

Mとの共通項

 

 愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記「10万人の宮崎勤」発言は都市伝説なのか(車輪の再再発明)を読んで、久しぶりに「とり・みきのしりとり物語」を読み返してみた。

 上記のページを読んでいただければわかるように、ここで言う「10万人の宮崎勤」発言とは、連続幼女誘拐殺人事件の犯人として宮崎勤が逮捕された直後に開催されたコミックマーケットについて、マスコミが「ここに10万人の宮崎勤がいる」と言ったか書いたかしたとされる、その発言のこと。掲示板でこの「10万人」発言について、とり・みきが漫画に書いてた、という人が現れ、それに対して別の人が、「いや、現物は知らないんだが、ゆうきまさみがはてしない物語で『とりさんに全部言われた!!』と叫んでいるのを読んだので」と無責任に挙げた書名が(漫画じゃなくてエッセイ集の)「とり・みきのしりとり物語」である、というわけ。
 すでにとり・みき本人からの回答によって、彼の漫画の中には「10万人」発言をネタにしたものはないということが判明しており、当然ながらこの「とり・みきのしりとり物語」にもこの発言についての言及はない。ただ、アニメ雑誌での連載をまとめた同書に収められているコラム3本(月刊誌での連載で1989年10月号から12月号までの3ヶ月間)にわたって宮崎事件が取り上げられており、そこではマスコミ批判の後、返す刀で自分自身も含めたアニメファンに対する批判が展開されている。

 我々もまた「識者」やマスコミの連中と同じあやまちを犯してはいないか、ということである。
 ほんとうにMと我々は違う人間なのか。
 前々回に私は「程度の差」ということを書いたが、Mと私の明確な「差」なんて、考えてみれば実際に殺人を犯したか、そうでないか、という一点だけだ。むしろ共通項の方が多い。
 これだけ多くの人がこの事件に関心を持ち、なおかつ口をそろえて彼との差別化をはかろうとするのは、実はみんなMに自分の姿の一部を見てしまったからだと思う。人は皆、それが自分でなかったことを安心したいため、ことさら差異の部分だけを「理解できない」と強調するのだ。
 自分も多少は持っている、しかし実際は理性やら社会倫理やらで抑えつけられているある部分を、たがが外れて堂々とやってしまった人間がいる。そのことに驚き、(言葉が不適当かもしれないが)嫉妬し、かつ、そういう反社会的な行為を犯した者が自分でないことを確認し、安心する。だからこそ攻撃の度合いも、よりひどくなる。
 Mとの差異をやっきになって見つけるよりは、むしろ自分と同じ部分、共通点を探すほうが、より今回の事件や世の中の仕組みが見えてくると思うのだが、どうだろうか。

 ここまで、同書の「世間の鬼」と題されたコラムから適宜引用したわけだが、当時まさにこのとおりのことを友人に言われた自分が「いや、俺は宮崎とは違う」と激しく反発したことをよく覚えている。今思えば、痛いところを突かれた、という感じだったのだろう。

 ちなみに、同書の別のコラム「すぐには言えない」で、とり・みきは以下のように述べている。

 現在、私はコメント及びインタヴューに関しては、それが電話による場合はほとんどお断りしている。まだそういう仕事に慣れていないころに不快な思いをしたことが何度かあったからだ。
 まず第一に、コメントを求められる対象内容が、自分が語る資格も立場もない、ときに興味すらまったくわかない分野であるケースが大半だということだ(にもかかわらず相手はしつこく回答をもらおうとねばる)。
 第二に、それが記事になったときに、こちらの喋ったことがそのまま正確に掲載されることは皆無に近いことがわかっているからだ。
 喋ったことのほんの一部が切り繋ぎされ、さらによりオーバーな表現に変えられて「とり・みきの意見」として載ってしまう。ときにはこちらの主旨とまるで反対の意見になっていることさえある。

 好きなように部分引用を切り繋げてすいません。
 でも、まあ、描いてもいない漫画を描いたことにされるよりは幾分マシなんじゃないかと勝手に思ってるのだが……。

追記

 愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記「とり・みき『とり・みきのしりとり物語』で言及されている「宮崎勤事件」を引用してみる」に、雑誌連載3ヶ月分のコラムが丸ごと引用されている。参考まで。