「騎手&厩舎」馬券の実験/01

最終更新時間:2008年10月30日 13時57分19秒

 ベスト新書の「予想力ゼロでも勝つ競馬投資入門」を読了。
 いろいろと問題のある本ではないかと思った。
 まず、全面に押し出されている監修者が「競馬に関してはさほど詳しいわけではない」こと。帯には「マネーウォーズの最先端を行く投資アナリストの馬券運用術」とあるが、「はじめに ― 監修者より」の章を読む限り、監修者は株式や債券の運用に忙しく、自分では馬券なんか全然買っちゃいない様子。先の「詳しいわけではない」というのも同章からの引用。
 監修者が書いてるのは、この「はじめに ― 監修者より」の章のみであり、実際にこの本を書いているのは、本書18ページに小さく、以下のように記されているとおり、

*本書の本文については、福島毅監修の下、月刊誌「競馬最強の法則」(弊社刊)
ライター武内一平が書き下ろしています。

あまり有名ではないライター。この武内一平という実際の執筆者の名前は、小さく書かれたこの一カ所にしかなく、あとはひたすら監修者の名前がプッシュされていて、裏表紙に記された赫々たる略歴も「競馬に関してはさほど詳しいわけではない」監修者のもの。
 これはいかがなものか。
 
 また、負けない方法として、以下のような「システム」が提案されている。

  • 回収率150%になる条件(騎手と厩舎の組み合わせなど)を見つける。
    • 過去100レースを調べ、回収率150%をクリアすればOK。
  • 的中率も重要。
    • 単勝なら15%、複勝なら30%程度は必要。
  • 後は機械的に該当する馬券を買い続ける。
    • 買うのは基本的に単勝か複勝。
  • 常に条件のチェックは怠らないようにする。
    • いわゆるPDCAサイクルを回す。

 これは、取り立てて目新しい提案ではない。過去、同様の提案は数ある類書でなされてきた。
 読者が知りたいのは、実際に運用されているシステムそれ自体の詳細なのではないか。
 本書でも、システム構築のためのヒントは記されているが、システムの実際についてはぼやかされている。実際のシステム運用時にはもっとも重要になると思われるマネーマネジメントについても、金丸式やマーチンゲール、ココモなどの有名な方法をさらっと紹介するだけ。
 執筆者自身が採用している条件は何か、その条件でどのような馬券を買い、その払い戻し金を次にどうしたのか、ある程度の期間中、どのようにシステムを運用したのか。それが知りたい。
 確かに数枚の的中馬券は掲載されてはいるが、それがシステム運用においてどのように位置づけられたものなのかは分からない。極端な話、システムとは無関係に、たまたま的中した馬券かもしれない。
 これでは、果たして執筆者が実際に、本書に書かれているような「システム」を運用しているのか、はなはだ疑わしい。
 それ書いちゃうとみんながマネして自分が儲からなくなるから書かない、ということかもしれないが、それならそもそもこんな本なんか書かなければよろしい。
 

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