日記/2009-4-22
交響詩篇エウレカセブン サブタイトル楽曲集
コンティニュー(45) | |
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「コンティニュー」はほぼ毎号購入しているが、それは「saku saku」の記事を読まんがため。ゲームやアニメにはあまり興味がないので、他の記事は真剣に読むこともなく、気が向いたら目を通すといった程度だった。
コンティニューVol.45(2009年5月号)の第一特集は、映画「交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい」の公開に合わせて、京田知己監督に対して都合4回、15時間以上にわたって行われたインタビューをまとめた「京田知己 70,000字独占ロングインタビュー」。
何の気なしに読んだこの記事が、実に面白かった。
映画のサブタイトル「ポケットが虹でいっぱい」は、90年代に再生したYMOがリリースしたシングルの曲名からとったもの。これでわかるように、京田はなかなかのYMOファン。
以下、「京田知己 Interview Part.1 2008.10」の「『エウレカ』だけど『エウレカ』じゃない」の節からの引用。京田知己、「コンティニュー」林編集長のインタビューイ、インタビュアー以外に、藤原啓治、羽海野チカ、志田英邦が同席。
― そう言えば、サブタイトルって「ポケットが虹でいっぱい」で決まったんですか? 京田 現在、各方面と調整中ですね。 ― 決まるといいですけどねえ。ぴったりだと思うんだけどな。なんなら特集でもYMOの写真を使いましょうか?(笑)。案外、許可取れるかもしれませんよ。 京田 それだったら、『エウレカ』のロゴの上にバッテンつけるとかね。 ― ああ、それはカッコいい! 再生YMOですね。 京田 そうなんだ。俺、東京ドーム公演行きましたよ。 ― 俺も行った(笑)。 京田 俺は観終わった後に「(前座のジ・)オーブ最高!」で、YMOに関してはノーコメント(笑)。 ― おお! こんなところに再生YMOのライブに行った人間が3人も(笑)。ちなみに京田さん、YMOではどのアルバムが好きなんですか? 京田 38年生きてきて一番聴いたアルバムは『テクノデリック』なんですよ。若い頃『PROLOGUE』と『EPILOGUE』を使ってビデオアートとか作ったりしてましたから。坂本龍一が一番ヤバかったときですよね。それと意外に『浮気なぼくら』とかも好きですよ。 ― あ、僕も好き! 京田 『WILD AMBITIONS』の最初の音の作り方が素晴らしい。それで思い出すのもなんなんですけど、今回の劇場版って、自分の中では「再生YMO」っていう意識なんですよ。
続けて、「京田知己 Interview Part.2 2008.12」の「再生YMOと90年代のリアル」の節からの引用。林編集長がしゃべるしゃべる。
京田 来年、林さんはどんなことをやりたいですか? ― そうだなあ……ボクと京田さんって同世代だから問題意識が近いとは思うんですけど、これは劇場版『エウレカ』とは関係なく、再生YMO感っていうのは、いまの僕たち世代にとってリアルな気がするんですよね。再生YMOって象徴的な気がするんです。あれ、本人たちがやりたかったかどうか、よくわからないじゃないですか? 京田 はいはいはい。むしろやりたくないオーラが全力で出てる(笑)。 ― そうなんですよね(笑)。「やりたくないけど、やらなきゃいけない」みたいな感じがすごくするんですよ。それって90年代のリアルタイムではわからなかったんですけど、いま、この歳になってみると、なんとなくわかる。「取りあえずやっとかないと仕方ない」っていうか、「いまやっとかないと、死ぬまで言われるしなあ」みたいな。 京田 だから僕が劇場版の後、もう1回『エウレカ』を作ったら今度はHASYMOみたいに枯れた感じになるんですよ(笑)。 ― あははは(笑)。だから再生YMOって、いまHASYMOとして仲良く復活してる感じよりも、よっぽど腹を括ってる感じがして、すごく沁みるんですよね、最近。非常に感覚的な同世代トークをしてますけど(笑)、YMOの歴史における『BGM』以降の”悩み”をわかってる感じって、大人として生きていく上で、すごく大切な気がするんですよ。前回言ったかもしれないですけど、僕、『浮気なぼくら』が本当に好きで。 京田 ああ、いいっスよね、あれ。 ― なんで好きかって言うと、すべてをわかった大人が逆ギレ感を演出してる感じがするんですよね。で、これは変に誤解されると嫌なんですけど、僕にとっての『コンティニュー』って、たぶん『浮気なぼくら』を延々とやってる感じなんですよ。あんな人じゃないんです、僕。『浮気なぼくら』みたいな人じゃないんだけど、なぜか延々と『浮気なぼくら』をやり続けてる(笑)。だって、もともと『20年目のザンボット3』とか作ってた人間ですから、いまみたいなサブカル雑誌を作ること自体、僕にとっては『浮気なぼくら』みたいなもんですよ。それで最近は『浮気なぼくら』をやり続けて、だんだんワケわかんなくなっちゃてるんです(笑)。 京田 いや、同世代なんでわかりますよ、すごく(笑)。 ― ありがとうございます(笑)。
最後は、「京田知己 Interview Part.4 2009.2」の「『93年のようにしてほしい』」の節から。どんどん長く引用しているが、なにしろインタビュー全体は70000字もあるので、これでもほんの一部。だから許して!
― (前略)前にウチの雑誌でテレビシリーズを大特集したとき、特集の冒頭で書いてるんですけど、僕が一番最初『エウレカ』に興味を持ったのって、やっぱり第1話のサブタイトル『ブルー・マンデー』なんですよ。言葉は悪いですけど「うわ! なんて恥ずかしい!」「でも、気持ちはわかるぞ!」みたいな(笑)。 京田 あれは(佐藤)大さんがつけたんですけどね。レントンの日常が日曜日の夕方に『サザエさん』が終わった後のまどろみみたいな状況が延々と続いているような、それこそ『ブルー・マンデー』の詞世界のようなイメージからのスタートだと思って、「それは、やっぱり『ブルー・マンデー』なんじゃないの?」ってとこからつけられてんですけどね。 ― 何回目か忘れましたけど、インタビュー前の余談で49話の『シャウト・トゥ・ザ・トップ!』とは何か?という話をしましたよね。 京田 そんな話しましたっけ?(笑) ― しましたよ(笑)。『シャウト・トゥ・ザ・トップ』はスタイル・カウンシルの曲ですけど、それは「決してトップに立てないデューイの悲しみである」というようなお話。 京田 そうでしたっけ(笑)。スタイル・カウンシルって、その本質はやっぱり「労働者階級の音楽」だと思うんですよね。テレビシリーズの頃、「メジャーなUKロックの邦盤を、邦訳と合わせて読み込んでみよう」みたいなブームがありまして。スタイル・カウンシルって鳴らしてる音楽はオシャレなんですけど、言ってることは超下流目線じゃないですか? ― ポール・ウェラーは一貫して、そんな感じがありますけどね。 京田 そこを面白く感じて。何年かに1回はそういうブームが来るんですけど、ちょうどテレビシリーズを作ってるときにそれが来たから、モロにそうなってるんでしょうね。 ― じゃあ、最初から『シャウト・トゥ・ザ・トップ』のようなメッセージの込め方を目指してたわけじゃないんですか? 京田 そうできればいいなってくらいは思っていましたけど、いまサブタイトルを考えたらとなると、また違ってくるとは思いますね。ただコーラリアンの話をするときには『アクペリエンス』シリーズにしようとは決めてましたね。まあ、前半に関して言うと、俺の要素っていうのはあんまりなかったですよ。第三者に決めてもらったほうが多かったり。 ― たとえば、10話の『ハイアー・ザン・ザ・サン』は? 言っちゃうとプライマル・スクリームですけど。 京田 これは誰だったかなあ。宇宙に行く話だったから「それなら、これで行こう」って話になったはずなんだけど。なんかプライマルの『ハイアー・ザン・ザ・サン』ってタイトルは気取ってるんだけど、曲調がブルーなところが重要で(笑)。 ― 確かに、そうですね(笑)。 京田 『アクペリエンス・1』の前に『イントゥー・ザ・ネイチャー』が来てるのは俺っぽいかな(笑)。 ― 一応解説しておくと『アクペリエンス・1』も『イントゥー・ザ・ネイチャー』もハードフロアの『TB Resuscitation』というアルバムに収録されてる曲で、収録順も『イントゥー・ザ・ネイチャー』の後に『アクペリエンス・1』が来てる、という(笑)。 京田 たぶん、この辺りからサブタイトルを決め始めたんだと思いますよ。「コーラリアンはその実、自然現象である」と。そしてそこにダイブしていくから、そういうタイトルをつけたんですよね。当時『イントゥー・ザ・ネイチャー』なんて誰が知ってるんだ? とか言われましたけど(笑)。そんな感じでサブタイトルを考え始めたら、なかなか決められなくて。そのせいでアフレコのときに次週予告の3本連続収録とかありましたね。 ― 音楽系のサブタイトルをつけるときって、たとえば僕が雑誌のコピーを決めるときなんか会社のPCに入ってるiTunesを参考にするんですけど(笑)、京田さんはどうやって引用されてました? 京田 その頃はiTunesでやるという発想がなかったから、それこそ目の前にあるCDラックから適当に掴んで引っ張り出して、そこから決めたりとかね。だから微妙に90年代テイストだという(笑)。 ― テレビシリーズのサブタイトルってUKロック以外にも、テクノとかハウスとか広範囲に及んでますけど、それは京田さんの目の前にあったCDだったんですね(笑)。
音楽関連に限ってもまだまだ引用したい話題が満載なのだが、きりがないのでこの辺で。興味がある方は「コンティニューVol.45」に直にあたってほしい。
と、上の引用部分まで読んで、映画だけでなく、テレビシリーズのサブタイトルの多くも、曲名からの引用であることを知る。
で、またもやリストにまとめてみた。リストの各ページには、該当する曲のDiscogs、YouTube、TechniqueもしくはAmazonでの検索結果が表示されている。Discogsでの検索結果はシングルを優先し、シングルカットされていないと思われる曲についてはアルバムを表示するようにした。YouTubeでそのものずばりの曲が引っかからなかった場合は、似たような曲を表示してお茶を濁している。許して。さらに、いくつかのページには、特記事項として関連する動画が表示されている場合もある。
以下にサンプルとして、映画のサブタイトル「ポケットが虹でいっぱい」のページの内容を示す。
ポケットが虹でいっぱい
- Title: Pocketful Of Rainbows
- Album: -
- Artist: Yellow Magic Orchestra
- Year: 1993
Discogs
Artist: | Yellow Magic Orchestra |
Url: | http://www.ymo.org/ |
http://www.commmons.com/ | |
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/ymo/index_pc.html | |
http://www.myspace.com/hasymo |
Title: | Pocketful Of Rainbows |
Label: | Toshiba EMI Ltd |
Released: | 1993 |
Track: | 01 [4:22] Pocketful Of Rainbows |
02 [4:23] Hi-Tech Hippies | |
03 [4:36] Pocketful Of Rainbows (English Version) |
YouTube
YMO - Pocketful of Rainbows (Technodon)Amazon
Notices
Pocketful Of Rainbows - Elvis Presleyリスト
サブタイトルに該当する曲は、基本的にWikipediaのエントリに準拠した。2009/04/22の時点で、第2、3、5、7、8、9、17話のサブタイトルについては該当する曲の記載がなかったため、該当するページの記載も空っぽ。第25、28話のサブタイトルは本のタイトルからとられているため、その本のAmazonへのリンクが記してある。
ただし、個人的な判断でWikipediaの記載を少しアレンジしたものもある。例えば「岡崎京子のマンガも、大元はビートルズでしょう」とか「フェリックスが先に書いてあるけど、やっぱりヒューマン・リーグでしょう」とか「デイト・オブ・バースといえばこれでしょう」とか。どれも曲はよく知っているものばかりだが、なにしろ「エウレカセブン」の方をまったく観たことがないので、番組内容にそぐわないアレンジかもしれないが、そこはご寛恕願いたい。
なお、幻の51話のサブタイトル「ニュー・オーダー」については、コンティニューVol.45のコラム「"恋物語"としての『エウレカセブン』」で言及されていた「Bizarre Love Triangle」を採用した。
また、映画は52番目に割り当てた。
Page | Subtitle | Title | Albun | Artist | Year |
---|---|---|---|---|---|
Eureka seveN/1 | Blue Monday | Blue Monday | - | New Order | 1984 |
Eureka seveN/2 | Blue Sky Fish | - | - | - | - |
Eureka seveN/3 | Motion Blue | - | - | - | - |
Eureka seveN/4 | Watermelon | Watermelon Man | Head Hunters | Herbie Hancock | 1973 |
Eureka seveN/5 | Vivid Bit | - | - | - | - |
Eureka seveN/6 | Childhood | Childhood | The Other Day | Jeff Mills | 1997 |
Eureka seveN/7 | Absolute Defeat | - | - | - | - |
Eureka seveN/8 | Glorious Brilliance | - | - | - | - |
Eureka seveN/9 | Paper Moon Shine | - | - | - | - |
Eureka seveN/10 | Higher Than The Sun | Higher Than The Sun | - | Primal Scream | 1991 |
Eureka seveN/11 | Into The Naure | Into The Naure | TB Resuscitation | Hardfloor | 1993 |
Eureka seveN/12 | Acperience 1 | Acperience 1 | TB Resuscitation | Hardfloor | 1993 |
Eureka seveN/13 | The Beginning | The Beginning | - | Rhythim Is Rhythim | 1990 |
Eureka seveN/14 | Memory Band | Memory Band | - | Rotary Connection | 1969 |
Eureka seveN/15 | Human Behaviour | Human Behaviour | - | Bjork | 1994 |
Eureka seveN/16 | Opposite View | Opposite View | Waking Hours | Del Amitri | 1989 |
Eureka seveN/17 | Skyrock Gate | - | - | - | - |
Eureka seveN/18 | Ill Communication | - | Ill Communication | Beastie Boys | 1994 |
Eureka seveN/19 | Acperience 2 | Acperience 2 | Hardtrance Acperience EP | Hardfloor | 1992 |
Eureka seveN/20 | Substance Abuse | Substance Abuse | - | F.U.S.E. | 1991 |
Eureka seveN/21 | Runaway | Runaway | - | Nuyorican Soul | 1996 |
Eureka seveN/22 | Krakpot | Krakpot | - | Plastikman | 1993 |
Eureka seveN/23 | Differencia | Differencia | B-2 Unit | 坂本龍一 | 1984 |
Eureka seveN/24 | Paradise Lost | Paradise Lost | 音楽図鑑 | 坂本龍一 | 1984 |
Eureka seveN/25 | World's End Garden | ワールズ・エンド・ガーデン | - | いとうせいこう | 1991 |
Eureka seveN/26 | Morning Glory | Morninng Glory | (What's The Story) Morning Glory? | Oasis | 1995 |
Eureka seveN/27 | Helter Skelter | Helter Skelter | The Beatles | The Beatles | 1968 |
Eureka seveN/28 | Memento Mori | オーイ・メメントモリ | - | しりあがり 寿 | 2006 |
Eureka seveN/29 | Keep On Movin' | Keep On Movin' | - | Soul II Soul | 1989 |
Eureka seveN/30 | Change Of Life | Changes Of Life | Waveform Transmission Vol. 1 | Jeff Mills | 1992 |
Eureka seveN/31 | Animal Attack | Animal Attack | Four Tracks EP | Fumiya Tanaka | 1995 |
Eureka seveN/32 | Start It Up | Start It Up | - | Joey Beltram | 1997 |
Eureka seveN/33 | Paciffic State | Paciffic State | Pacific State / Cubik | 808 State | 2002 |
Eureka seveN/34 | Inner Flight | Inner Flight | Screamadelica | Primal Scream | 1991 |
Eureka seveN/35 | Astral Apache | Astral Apache | Galaxy 2 Galaxy | Galaxy 2 Galaxy | 1993 |
Eureka seveN/36 | Fantasia | Fantasia | - | Cosmic Baby | 1994 |
Eureka seveN/37 | Raise Your Hand | Raise Your Hand Together | Holidays In The Sun EP | Cornelius | 1993 |
Eureka seveN/38 | Date Of Birth | - | Date Of Birth | Date Of Birth | 1992 |
Eureka seveN/39 | Join The Future | Join The Future | - | Tuff Little Unit | 1991 |
Eureka seveN/40 | Cosmic Trigger | Cosmikk Trigger | - | Cosmic Baby | 1992 |
Eureka seveN/41 | Acperience 3 | Acperience 3 | Hardtrance Acperience EP | Hardfloor | 1992 |
Eureka seveN/42 | Star Dancer | Star Dancer | - | The Martian | 1993 |
Eureka seveN/43 | The Sunshine Underground | The Sunshine Underground | Surrender | The Chemical Brothers | 1999 |
Eureka seveN/44 | It's All In The Mind | It's All In The Mind | Ravesignal III | CJ Bolland | 1991 |
Eureka seveN/45 | Don't You Want Me? | Don't You Want Me | - | The Human League | 1981 |
Eureka seveN/46 | Planet Rock | Planet Rock | - | Afrika Bambaataa | 1982 |
Eureka seveN/47 | Acperience 4 | Acperience 4 | Hardtrance Acperience EP | Hardfloor | 1992 |
Eureka seveN/48 | Ballet Mecanique | Ballet Mecanique | 未来派野郎 | 坂本龍一 | 1986 |
Eureka seveN/49 | Shout To The Top | Shout To The Top | - | The Style Council | 1984 |
Eureka seveN/50 | 星に願いを | When You Wish Upon A Star | Walt Disney's Pinocchio | Cliff Edwards | 1992 |
Eureka seveN/51 | New Order | Bizarre Love Triangle | - | New Order | 1986 |
Eureka seveN/52 | ポケットが虹でいっぱい | Pocketful Of Rainbows | - | Yellow Magic Orchestra | 1993 |
参考
コンティニュー(27) | |
太田出版 | |
楽天 Amazon |
- Wikipediaのエントリ「交響詩篇エウレカセブン」
- ニコニコ動画 Eureka seveN subtitle soundtrack 1 - 4