日記/2018-3-16

最終更新時間:2018年03月16日 09時04分01秒

点在する「京都買います」

 

 本の雑誌418号2018年4月号掲載の「坪内祐三の読書日記」のサブタイトルは「『怪奇大作戦』の第二十五話「京都買います」がDVD化されました」というもの。2018年1月18日分の記載は以下の通り。

一月十八日(木) 今場所三度目の国技館(メンバーは私、中野翠さん南伸坊さん泉麻人さん――ってシブいでしょ)。渋谷二軒、飯田橋一軒、本屋を覗くが、ディアゴスティーニのDVDコレクションの『円谷プロ特撮ドラマ』シリーズは見当たらない(売り切れたのではなく扱っていないのだろう)。その最新巻(五十一号)を先週末、東京堂書店で見つけ、その号を購入して中野さんにお見せしたかったのだ。何故ならその号には中野さんの大好きな(亀和田武さんも大好きな――たぶん泉麻人さんも大好きな)「京都買います」(『怪奇大作戦』の第二十五話)が収録されているからだ。一時半、国技館に入ると既に南さんがいらっしゃっている。

 その号(2018年1月16日発行)がこれ。

No Item.

 表紙でフィーチャーされているのはボーンフリーだが、左下に確かに「怪奇大作戦」の記載がある。目次によると、DVD収録作は以下のようなもの。

  • 怪奇大作戦
    • 第23話「呪いの壺」
    • 第25話「京都買います」
    • 第26話「ゆきおんな」
  • 恐竜探険隊ボーンフリー
    • 第1話「行け! ボーンフリー号」
    • 第2話「恐怖の肉食恐竜アロサウルス」
  • トリプルファイター
    • 第3話「殺人マシンX14号」

 ボーンフリーは2話なのに、怪奇大作戦は3話収録されており、実際にフィーチャーされているのは怪奇大作戦の方なのではないか。
 なお、怪奇大作戦の第24話「狂鬼人間」は欠番(元脳科学者で、狂人に家族を殺された過去を持つ狂わせ屋が作った脳波変調機によって、一時的に狂人と化して殺人を犯すことで罪から逃れる、という犯罪を、SRIの牧が自ら囮となって暴こうとするが、狂わせ屋に見破られて……という話。ウルトラセブンのスペル星人もそうだが、円谷プロは抗議を受けるとすぐ欠番にしちゃう嫌いがある)。

 私は十年以上前に以下のDVDを買いました。

DVD 怪奇大作戦 Vol.6
ビクターエンタテインメント

 こちらには22、23、25、26話が収録されている。24話はやはり欠番だが、「京都買います」はもちろん入っている。
 現在このDVDには、新品の場合ろくでもないプレミア価格がついているようなので、新たなファンの開拓という意味で、今回デアゴスティーニから再販されたのはとてもいいことだと思う。

 私ももちろん、坪内祐三や中野翠や亀和田武や泉麻人に負けず劣らず「京都買います」は大好きなのだが(怪奇大作戦の中での最高作というだけでなく、実相寺昭雄の最高作ではないかと思う)、以前、他にも、なかなかの「京都買います」ファンを見つけていた。

 多くの地方新聞社と共同通信が運営しているニュースサイト「47news」の文化面の連載コラム「洞口依子ののら猫万華鏡」の「京都大作戦」の回で、洞口は「京都買います」への愛、牧史郎役の岸田森への愛を熱く語っている。
 太秦での撮影の空き時間、洞口は「京都買います」のラストシーンのロケ地である祇王寺がすぐ近くであることに気づく(下記引用部では、文字コードの関係で連八分音符を八分音符に変更し、改行を適宜削除した)。

 「……今だ。今しかない!」
 のろのろとのら猫がすり抜けるように撮影所の門を出て、私は大通りに駆け抜けてゆくと急いでタクシーを拾って飛び乗った。
 脳内には『怪奇大作戦』のあのテーマが鳴り響く。
 「チャーラーラー♪ チャララチャラララチャラチャッチャー♪ ビヨンビヨンビヨンビヨーン♪」

(中略)

 言葉が出ない衝撃だった。
 寺の様子はあの頃のままだったのだ。
 細かいディテールは確かに多少変わっている。40年以上も前に撮影したのだからそりゃそうだ。しかし、この祇王寺の庭は、あの仏像と化した尼僧がどこかにひっそりと眠っているようにも感じられた。
 まさにわたしが立っている場所こそ牧史郎が茫然と立ちつくしていた辺りでもあった。
 柔らかな夕暮れの陽射しがうっすらと、寺を囲む樹々から漏れてくる。
 私はしばらくそこに立ち尽くしてぼんやり庭を眺めていた。

(中略)

 ロケ地なんていうものは実際行くと大抵がっかりするものだが、今回は違った。思い切って来てみて本当によかった。

 
 数年前にこのコラムを読んで以来、私もぜひ祇王寺へ行きたいと思っているのだが、まだその夢は果たせていない。